太陽の矢の話

これは小さな思い出の話
あれは、私がまだ7歳か8歳だったかな、、、
夏の始まりで、もうすぐ夏休みが近づいていたある晴れ渡る空の日
いつも学校の帰り道は大概そうであった様に
私は一人石を蹴りながら歩いていた。
と言っても、決していじけていたわけではない。
学校から一つの石を見つけて、その石をずーっと家まで蹴り続ける遊びが
長いことマイブームだったのだ。

ゴルフの超スーパーロングホール的な、、、

当時私はバスで学校まで通っていたので、バスに乗降するときは足で挟んで、
難関を突破したものだ。

その話はさておき

いつもの様にドーナツ池の横の坂道を石を蹴り蹴り登って行くと、
坂の終わりの少し手前、左手の地面に

何か大きな葉っぱみたいな物が、見たこともないモスグリーンで
光を放って落ちていた。

「なにあれっ!?」
って心弾ませて近寄ると、、、

それは初めて見る緑色の巨大な蝶の類だった。

「えーーーーーーーーーっ!」

ってホントにでっかくて、自分の顔位の大きさの素晴らしい蝶だったのだ。
その蝶は、羽を痛めてもう飛べない様に見えたがまだちゃんと
生きていたのでとりあえず近くの木の枝を拾ってその枝につかまらせて
蝶を持って浮くように歩き始めた。
石の事はまったく忘れて、、、
幼いころの自分はというと、ほとんどの男子がそうである様に昆虫が
大好きな子供だったので

その初めて見る巨大な緑の蝶は当時の自分にとってはまさに
勲章みたいに誇らしく思える存在だったのだ。
その蝶と一緒に坂を登り切ると、砂利の広場に辿り着く。

その砂利をザクザクって小気味良く歩いて広場の奥へ行く。

キンモクセイの木の下まで行ったところで、蝶をじっくり枝に眺め独り占めする。

何気なく空を見上げる

太陽が3時頃の光でまぶしかった。
そしてもう一度蝶に目をやった瞬間の一瞬の出来事。

巨大な蝶がその緑の羽を羽ばたかせて飛び立ったんだ!

「あっ!」

っと思ったけど
地上4メートルくらいの高さを時間すら飛び越えて行く様に
音もなくふわふわ飛んで行くその姿に見とれて

少年の日の私の両の眼が追っていく、、、

その時だった。
… 

頭上75度の方角

丁度太陽の光の中から、まるで太陽が放った矢の様にすごい速さで飛んで
来る者がその勢いを抑えることなく一つの的に向かって飛んで行く。
見ればヒヨドリの飛翔!
彼は、手元から飛び立った緑の蝶に一直線に向かっていって次の瞬間
くちばしでかっさらっていった。
子供の頃の私と、傷ついた羽で最後の飛翔に飛んだ巨大な蝶と、
太陽の矢みたいなヒヨドリの織りなした大三角形が魅せた

ほんとうに心が躍る瞬間だったー。

あの夏の日を思うと今でも胸に熱い物がこみ上げる。
帰らざる日々に視た、決して消えない小さな思い出。

心の宝物

 

太陽の矢