愛しき掟

大地に生きる者達は
大地の掟に沿って生きる

鉄の雲って名前で、不思議な定めに生まれた狼の姉様が、
幼いころ森でヴィジョンを求め魂の旅をしていた時、
夜の森に一頭の小鹿が地に伏せてじっとしているのを見つけた。


茂みから、その小鹿を見守る様に見ていると小鹿の元に狼の群れがやってきた。
狼の姉様はその光景影からじっと見つめていると、大きな鼻でなんでも
嗅ぎ取ってしまうα(リーダー)の者がその小鹿に牙をむき出してうなりながら近寄って行った。
小鹿は震えていただろう。
でも、その子はその場所から一歩も動かずにじっとしていた。
狼はいつでもしとめる事は出来たのに、αの者、じっと動かないでいる小鹿のとこに
近付くと大きな舌で一つぺろりと小鹿の鼻先をなめると、群れを従えて去って行ったと云う。
大地の掟の輪の中の調和を見たのだ。
あの小鹿が逃げ出そうものなら、一瞬の間に仕留められていただろう。
… でもあの子は、森の掟を信じてそこに動かずにいたのだね。
狼のαはあの子がいずれ鹿のリーダーになる資質がある事を見極めたのだね。
なんて素晴らしいのだろうね。

私は思う。

時として進む事とは、定めを信じて委ねて待つ事でもあると。
だから無理にこじ開けなくても、信じていればきっと全て晴れ渡る時は来る。
冬の間木々が根を伸ばすように、大地の掟を、四足の兄弟たちから学ぼう。
学びながら、一歩ずつ
歩んで行けばいい

wolf